文部科学省など3省による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」が2022年に改正された。キャリア形成支援にかかわる取り組みが4つに類型化されたが、企業の情報提供プログラムやインターンシップなどへの参加状況はどうなっているのか。現在の大学3年生を対象にリクルート就職みらい研究所が行った「25年卒インターンシップ・就職活動準備に関する調査」の今年9月時点の最新結果を見ていこう。
これらの活動に参加した学生は、就職意向者全体のうち85.2%を占めた。平均参加社数は5.94社。夏休みなどにインターンシップ等に参加した学生の多さがうかがえる。
プログラム期間別の参加状況では、企業情報の提供などの「半日」の割合が最も高く63.0%、次いで「1日」が51.2%だった。インターンシップに該当する「5日以上~2週間未満」の割合は15.9%となり、単日開催プログラムに多くの学生が参加したことがわかる。
2日以上のプログラムへの不参加理由は「学業の都合(授業や研究など)で予定が合わなかった」が最多で50.8%に。次いで「プライベートな都合(部活やサークル、アルバイトなど)で予定が合わなかった」が34.1%で、スケジュール調整の難しさが見て取れる。一方で満足度について聞くと、1日以下では「満足している」と答えたのは46.4%だったのに対し、5日以上では73.4%。期間がより長い方が高かった。
期間の長い方が「仕事をしている社員に同席あるいは同行する」「社員の補助的な業務の一部を経験する」など、業務経験を積めるものが相対的に多い。参加して良かった点は「職場の雰囲気を知ることができた」「自分のスキルを見極めることができた」などの項目で5日以上のほうが1日以下よりも多く、15ポイント以上の差があった。
期待する点としては「仕事内容が自身の望みと合致しているか確かめたい」「就職した後のキャリアモデルを知りたい」という声があった。一方で「参加できなかったら不利になるのでは」「インターンシップで悪い印象を残すと本選考でも落とされそう」「たくさん参加したけれど業界が絞れていない」などの懸念も寄せられた。
冬期休暇を迎えるこれからインターンシップ等はまだまだ多く開催されるだろう。大事なのはやみくもに参加するのではなく、何を知るために参加するのか目的意識と自分なりの仮説を持つことだ。
幅広く業界を見て選択肢を増やすために1日以下のプログラムに参加するもよし。業務体験を通じて適性を見極めたいなら、5日以上のインターンシップに応募するのもいいだろう。もし参加できなくても、採用選考の門戸が閉じることはない。納得感のある自己選択のために、機会を有効に活用していってほしい。
(リクルート就職みらい研究所所長)