知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】実習の経験、強みに 3年生までに体験学習を 上田晶美(2024/3/12 日本経済新聞 夕刊)(2024/03/19)


 とある医療系の大学に就活面接の指導でうかがった。もう15年くらいになるが、毎年私のいやしとなっている大学だ。こちらが面接のアドバイスに行くわけなのだが、学生のエピソードを聞いていると心が洗われ、私ももっと頑張ろうと、ふつふつと元気が湧いてくるのだ。

 中でも看護学科の学生のエントリーシートの内容は素晴らしい。奉仕の精神と献身的な姿勢に心打たれる。20歳そこそこなのに、他者への思いやりの深さに感嘆するばかりだ。日本にもこんなに社会に貢献しようとしている若者たちがいるのかと思うと、帰りは雨の中でもスキップしたくなるくらいだ。

 例えば、いわゆる「ガクチカ」では病院実習での経験を書く人が多い。「お風呂を嫌がる患者さんに対応した際、お話ししているうちに湯冷めが怖いと思っていらっしゃることに気づいた」といい、「まずはお風呂全体をシャワーで温めておき、出てからの布団にも湯たんぽを入れておいたところ、大変喜ばれてお風呂嫌いが治った」そうだ。

 また、「歯磨きが苦手なお子さんと接していて、柔らかでヘッドの小さな歯ブラシを用意したら、歯磨きを嫌がらなくなってくれた」などだ。実習で経験した人との関わりを取り上げ、成功体験として書いている。

 たまに実習のことよりもサークルやアルバイトのことを第一に書いてくる人もいるが、それも看護の仕事につながっていけば悪くはない。「障害のあるお子さんたちとキャンプに行くサークル」や、「小児病棟の入院患者さんの兄弟の面倒を見るボランティア」などだ。

 これらの例は看護学科の特別な実習やサークルでの体験ではあるが、他の大学、学部の皆さんにも普遍化できるものだと思う。それは実習の体験談に勝るものはないということだ。

 中でも志望先の仕事につながるエピソードが心を揺さぶる。旅行業界ならば旅行の話、食品業界ならば食にまつわるストーリーだ。そのためには実習のあるゼミを選ぶことや、積極的に学外の活動、フィールドワークなどに加わることが有利になるだろう。

 看護学科の学生は大学を選ぶ時点で看護の道に進むと決めて入学している。ところが、ベネッセ教育総合研究所の調査によると、3年生で進路を考える大学生が65.1%という。2年生以前だと12.7%に過ぎない。

 正式な面接が始まる時期が4年生と考えると、実習などの体験は3年生までのものになる。つまり早く方向性を決めて、それにつながる体験学習をしておいたほうがよい。

 体験する分野はひとつに絞り込まず、いくつかに仮決めすれば実習には行きやすい。そのために企業や業界の説明会であるオープンカンパニーなど、1、2年生から参加できるキャリア形成支援プログラムを活用してほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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