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【就活のリアル転載】キャリア形成の支援策 目的に応じ使い分けを  栗田貴祥(2024/4/9付 日本経済新聞 夕刊)(2024/04/16)


 新年度が始まった。4月には2026年大卒予定者向けにインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへのエントリーサイトがオープンし、早くも就職活動への情報収集、自己分析など準備を始める大学3年生もいるだろう。

 経済産業省や文部科学省などの3省合意の改正により、25年卒の採用活動からインターンシップなどの考え方が大きく変わり、オープン・カンパニー、キャリア教育、汎用的能力・専門活用型インターンシップ、高度専門型インターンシップの4つに類型化された。インターンシップと称して実施できるのは後者の2類型のみで、採用活動に活用できるものの、実施に向けては一定の要件が必須となった。

 リクルート就職みらい研究所の調査によると、改正前の24年卒向けではインターンシップや1日の仕事体験を実施した企業の割合は74.8%だった。実施企業のうち、2日以上のインターンシップは61.9%、1日の仕事体験は91.2%と、単日開催の仕事体験の実施率の高さがうかがえる。

 4類型化された25年卒向けのキャリア形成支援プログラム全体では、実施企業(予定含む)は56.3%と半数を超えている。その内訳を見てみると、オープン・カンパニー(対面とウェブの両方で実施と、ウェブでのみ実施の合計)が90.1%と圧倒的に多く、汎用的能力・専門活用型インターンシップは41.6%となっている。

 こちらは、一定の実施要件が定められており、企業にとって実施のハードルはオープン・カンパニーよりも高い。ただ、4類型の稼働初年度で4割まで増えていることは、これからの実施拡大につながる数字ともとらえられる。

 また、25年卒において、汎用的能力・専門活用型インターンシップの実施時期は、学生の長期休暇のある夏季に集中しており、8月が67.3%、9月が46.4%という結果になった。

 一方でオープン・カンパニーは8月が53.4%、12月が50.8%、9月が48.4%と、夏季だけでなく秋冬の実施割合も高い。26年卒向けの実施予定時期も同様の傾向にあるが、「分からない」と回答した割合は増えており、各社が適切な時期を模索する様子が読み取れる。

 オープン・カンパニーと汎用的能力・専門活用型インターンシップは、開催目的や内容が大きく異なる。学生は目的によって使い分けることが重要だ。

 オープン・カンパニーは参加年次が不問で、低学年からでも参加できる。興味のある業界、企業の情報に広く触れ、将来の働く姿をイメージすることで、大学生活を通じて何を学ぶべきかに向き合う視点も得られるだろう。門戸が広がった情報収集の機会、自分のキャリアに向き合う機会をぜひ活用していってほしい。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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