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【就活のリアル転載】フィードバックが大切だ 人材の定着・活躍のカギに  栗田貴祥(2024/6/11付 日本経済新聞 夕刊)(2024/06/18)


 2026年に卒業する大学生の就職活動に向け、インターンシップの受け入れが本格的に始まった。リクルート就職みらい研究所が23年6月に実施した26年卒業予定の学生を対象とした調査では、約7割がインターンシップなどの就業体験に参加したいと考えていた。

 インターンシップは、25年卒の就活からプログラムの要件が明示された。企業は5日間以上の実施期間を設け、その半分以上を就業体験に充て、フィードバックなどを行わなければならない。参加した学生の情報は、採用選考活動などに利用できる。

 同研究所の調査によると、25年に卒業予定の学生で5日以上のプログラムに参加したのは19.7%。そのうち、就業体験やフィードバックなど、インターンシップの基準を満たしたプログラムに参加したのは46.5%だった。つまり全体の1割程度しかインターンシップには参加していなかった。

 内定辞退や入社後の配属のミスマッチの問題が関心を集めているなかで、質の高いインターンシップは学生にとっても企業にとっても有力な解決策と考えられる。企業側には負担のかかる部分もあるが、相互理解を深める意味で、今後、もっと活用されていくことを願う。

 ある通信大手では、インターンシップに参加する学生を「プレ新入社員」と位置づけ、社員並みの厳しいフィードバックを行ったところ、成長を実感できたという高評価が学生から返ってきたという。

 フィードバックとは「相手への関心と尊敬を土台として、成長と成果を願って、感じたことを素直に伝えること」。「図解 人材マネジメント入門」などの著者である坪谷邦生氏はそう定義している。

 だれにでも言えるようなフィードバックでは相手の心に刺さらない。たとえば、ある場面での具体的な立ち居振る舞いをとらえて、学生の一人ひとりの強みや、その人らしさに言及し、今後の成長のポイントをアドバイスする。

 フィードバックをする側は、自社の理念や、現場で実感している働きがいなどとも照らし合わせながら、伝えるべきことを選択する必要がある。学生は社会人から第三者の視点でのフィードバックを受けることで、自らの実力を受け入れ、個性を再発見し、キャリアを考える手がかりを得ることになる。

 こうして互いを理解し合うという過程を経ることによって、内定辞退や入社後の配属のミスマッチを防ぐだけでなく、組織に対するエンゲージメントを高めることにもつながる。

 質の高いフィードバックが、質の高いインターンシップの大きな柱になる。企業にとってのコストは小さくないが、人材の定着と活躍につながり、将来的なリターンは小さくない。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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