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【就活のリアル転載】インターン等どう生かす 必要な能力学ぶ契機に 栗田貴祥(2024/8/13付 日本経済新聞 夕刊)(2024/08/20)


 夏休みも中盤に入り、大学3年生の中にはインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加している人も多いだろう。現在の4年生の参加時期を見ても弊社の調査では昨年の8月が57.2%、9月は49.9%と5~6割程度を占めている。特に5日以上のプログラムへの参加は8月と9月に集中しており、長期休暇を利用して活動が活発化していることがわかる。

 インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムが4類型(オープン・カンパニー、キャリア教育、汎用的能力・専門活用型インターンシップ、高度専門型インターンシップ)になり今年度で2年目だ。就業体験が必須で期間は5日以上といったインターンシップの実施要件が明示され、その目的が「就業体験を通じて自分の能力が通用するか見極める」ことへと変わった。「学ぶこと」と「働くこと」のつながりを意識しやすくなった点は歓迎すべきだろう。

 4類型となる前の2024年卒への調査になるが、インターンシップ等に参加したことで「学業に取り組む意欲が高まった」と答えた学生は54.6%、「志望する企業・各種団体等の選択肢が広がった」という声も66.6%に上っている。

 ただ現在の4年生では参加したプログラムの期間は「1日以下」が総件数の87.1%と大半を占めている。オープン・カンパニーと呼ばれる職業体験を伴わない単日開催のプログラムでは、自らの能力が通用するかどうかの見極めは難しいかもしれないが、そもそも世の中にはどんな仕事や企業があるのかを知る機会として参加するメリットは大きい。特に4類型への改正を受けてオープン・カンパニーの参加年次は不問となり、低学年のうちから自らのキャリアについて考える機会が増えたことは良い変化の一つだろう。

 インターンシップの定義が明確になったことで、5日以上の就業体験の提供はハードルが高いと感じている企業も少なくない。インターンシップの開催には現場の協力が不可欠なため、小規模な企業ほど負担は大きくなるからだ。

 ただ、職業体験があるからこそ学生と企業の相互理解が深まり、インターンシップに参加した学生は参加していない学生に比べて入社後の早期離職の割合が低いという企業の声もある。

 学生がその企業で自らの能力が通用するかを見極めていくために、企業側はインターンシップ参加に必要なスキルや能力、そしてそれを培うための学習経験などをより具体的に示すことが大切になるだろう。

 学生が「このプログラムに参加するには、これだけ学習しなければならない」と分かれば、志望する職務に就くために主体的に何を学ぶべきか、という視点で学びを捉え直すことになる。学生が学びを「働くこと」へとつなげる好循環が、ますます高まることを期待したい。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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