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【就活のリアル転載】面接の受け答え 相槌の仕方にご用心 上田晶美(2024/9/17日本経済新聞 夕刊)(2024/09/24)


 「普通に会話できる人が欲しいですね」。ある企業の採用担当者に、これから採用活動終盤に向けて大学4年生の選考ではどんなところに注目しているか聞いたところ、そういう答えだった。

 そんな簡単なことかと失礼な気もするが、率直に質問を続けた。「受け答えの仕方で損をしている人が多いですね。あまりにもクセのある話し方だと、話す内容が頭に入ってきません」。口癖などのことだろうか。例えば相槌(あいづち)で「うん、うん」という人が多いそうだ。敬語を気にしている学生は多いが、相槌というのは盲点なのかもしれない。日ごろのクセが出がちである。

 私も仕事がら、話す人の態度や相槌が大変気になる。先日も就職相談にきた学生に注意したのが相槌だ。その学生は私の言うことに対して必ず「なるほど」と受ける。字面で見ると悪くないように思えるが、関係性によっては失礼にあたる。少なくとも先生と生徒という間柄で、先生にアドバイスされて生徒が「なるほど」という相槌で受けるのはふさわしくない。そればかり気になってだんだん話の内容が入ってこなくなる。

 「面接では言わないように」と前置きして「なるほど」という相槌は上位者、もしくは同等の相手が使う言葉で、下位者からいうのは失礼にあたるとやんわりアドバイスした。では代わりになんというか。「はい、わかりました」でよい。とにかくまず「はい」と言ってみよう。

 「はい」は何とも便利な相槌だ。もちろん「はーい」でも「はいはい」でもない。指示された内容に対しては「はい、承知しました」と続けるとよいだろう。「了解です」というのは対等すぎる。

 採用担当者が若い世代であれば、気安く話せるケースもあるかもしれない。もしその場は対等な感じでよかったとしても、採用担当者は「もしも取引先に対してこういう言葉遣いでは困るので、かなり受け答えや敬語の研修をする必要があるな」と考えると、二の足を踏んでしまうというものだ。面接というのは、将来の仕事ぶりを類推して合否を判断する場なのだ。

 そのほかにも「そうですね」と一言前置きするのもあまり感じがよくない。オリンピック選手のインタビューでなら「今日の勝利の要因はどこでしょうか?」と聞かれて「そうですね。普段どおりに臨めたことだと思います」と答えてよいと思う。

 だが、就職面接で「今まで内定が出なかったのはなぜですか?」と聞かれて「そうですね。私としては出遅れたことがすべてだと思います」などともったいぶっているわけにはいかない。

 敬語、中でも相槌というのはやっかいなものだ。だが、そのちょっとした言葉の印象の積み重ねが合否を分けているのかもしれない。
 
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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