知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】大学2年生の皆さんへ 自分の強み見極めよう 栗田貴祥(2024/10/15付 日本経済新聞 夕刊)(2024/10/22)


 就職活動の早期化が進み、大学3年生の春にはインターンシップの応募に向けて準備を始める学生も少なくない。では、大学2年生は今、「働くこと」についてどの程度具体的なイメージを持っているのだろう。

 リクルート就職みらい研究所は6月に「2023年入学 大学2年生の大学生活等に関する調査」をした。入学後のキャリアに関する授業の受講経験を聞いたところ、受けたことがある学生は58.5%と6割近くにのぼった。授業を通して得たのは「世の中にはどのような仕事があるのか」と「大学でのキャリアサポートの内容について」わかったことで、どちらも39.1%でトップだった。

 卒業後働くことは「意識している」「どちらかというと意識している」が合計で84.9%と多数を占めた。大学2年生のうちから、将来について何らかの関心があることはわかった。

 社会人として働くことのイメージは、上位3つに「責任が求められる」「忙しい」「お金を稼げる」が挙がり、8割以上の学生がこれらに「あてはまる・ややあてはまる」とした。

 一方、「あてはまる・ややあてはまる」が最も少なかったのが「やりたいことができる」で31.8%。ほかにも「自分らしく生きることができる」は46.8%で半分を切るなど、社会人になっても自分らしく働くイメージを持てていない学生が多いことが浮き彫りになった。

 就職志望者が就職について考える際に知りたいことは「自分に向いている仕事は何か」がトップで51.9%だった。2年生の段階では、自分自身と仕事との接点をうまく見いだせていない様子がうかがえる。

 大学に入学してまだ1年余りとあって、自分は何がやりたくて、何ができるのかといったことが固まっていないのはごく自然なことだ。

 就職活動が本格化する前だからこそ、学業はもちろん、様々な課外活動など、充実した学生生活を過ごす中で、自分にはどんな強みがあり、どんな環境であればその強みを発揮しやすいのかなど、「自分らしさ」とは何かを探ることに価値がある。

 就職活動が始まると、企業の採用活動に振り回され、内定獲得をゴールに捉えてしまう学生は少なくない。大学の低学年でも参加できるオープン・カンパニーに出向いたり、大学でキャリア関連の授業を受けたりするなど、世の中の仕事を広く知るための情報収集はもちろん大切だ。ただそれと並行して、学生生活で様々な経験を積む中で、自己内省を深めていってほしい。

 「自分らしく生きるための人生のあり方や働き方」とは何かを念頭に置きながら、充実した学生生活を送る。そのことが、就職活動で最終的に自分らしく輝ける1社を選ぶための「選社基準」づくりの一助になるだろう。

(リクルート就職みらい研究所所長)



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