卒業後の進路が確定した2025年卒業予定の大学生は、来年度からスタートする社会人人生をどう捉えているのだろう。リクルート就職みらい研究所による「就職プロセス調査」では、「卒業後社会人として働くことに自信や覚悟があるかどうか」についてアンケートを実施した。
25年卒・院修了の民間企業への就職確定者(6月12日時点)のうち、「卒業後社会人として働くことに自信や覚悟がある」と回答した学生は65.0%だった。一方、「自信や覚悟がない」と回答した学生は22.9%となり、少数派ではあるものの、一定数が不安を抱えていることがわかった。
「自信や覚悟を持てない」と回答する学生が一定数いる背景には、どのような要素が影響しているのか考えてみたい。内定先企業への就職に対する不安として学生から聞こえてくるのは、「この企業で自分はやっていけるのだろうか?」というような声だ。選考の際など、その企業の先輩社員と接点を持つ中で、自分の能力やスキルが本当に通用するのかと不安になっているらしい。
このような「この会社でやっていけるかどうか」という不安を持つ学生への解決策としては、入社予定企業の他の同期とコミュニケーションを取ることをお勧めしたい。
それにより、「このメンバーとなら一緒に頑張れるかもしれない」と前向きになれる可能性も高まるので、是非コミュニケーションを深めてみてほしい。また、スキルについても、入社に向けてどんな準備をしているのかを同期に聞いて参考にすることができる。
一方で、企業側も学生に「自信や覚悟」を持って入社してもらうためには、入社後に身につけるべきスキルや能力、仕事に対して自身のモチベーションが生まれる際の要因など、キャリアに関するコミュニケーションや対話ができたかどうかが重要になってくる。
それらの機会を得た学生は、就職先企業としっかり対話ができたと感じ、社会人として働くことに自信や覚悟といったポジティブな考えを持つ傾向が見られる。
就職内定率は早期から高い水準で推移しており、新卒採用市場は学生優位な状況だといえる。内定をゴールと捉え、早々に就職活動を終える学生も少なくない。入社後のミスマッチや早期離職を防ぐためにも、企業とのキャリアに関する対話は大切だ。
仕事の社会的意義や価値、入社後に身につけるべきスキルや能力、仕事に対してモチベーションを生み出す要因などについて、企業と学生が積極的にコミュニケーションを重ねていく。企業側がそのような機会を積極的に作っていくことが、学生の入社後の定着や活躍につながっていくだろう。
(リクルート就職みらい研究所所長)