「部活動の内容について、もっと具体的に書いた方がよいのでは」とインターンシップのエントリーシート(ES)について学生にアドバイスしたところ「そこは面接で質問してもらいたいと思い、わざと書かずにトラップを仕掛けています」と言う。確かにESは面接のやり取りの筋書きになるともいえるので、それを見越して考えているというのは優秀な学生である。
だが面接で質問されることを想定して、わざとあまり詳しく書かないというのはリスクが高すぎる手法であり、おすすめできない。面接に臨む人事担当者がそこに気づかずスルーしてしまったら次の質問に移り、会話は深まらずに終わるからだ。むしろその危険性は高いといえる。
学生の側からここを質問してくださいと指定はできないのだ。あくまでも主導権を握るのは会社側であり、学生側がコントロールできるものではない。詳しく書いていなければ、興味を持たれず終わってしまう。人事担当者が聞いてみたくなるような具体性が必要である。
具体性とは何かというと、固有名詞や、数字やエピソードである。それによってどんな部活動だったのか、想像できるようになり、さらに詳しく聞いてみようとなるのだ。
それも一問一答で進んでいくのではなく、一つの質問に答えると、なお深掘りする質問を二重三重に質問される。「なぜ?なぜ?なぜ?」を3回は繰り返されると思っておいた方がいい。「なぜやろうと思ったのですか」「なぜ達成できたのですか」「どうして」とくる。人事担当者はプロである。
最近、大学のキャリアセンターに来る学生は、ESの完成を頼ってくる傾向があるように思う。「何をしてきたのですか」「どうしてやろうと思ったの」とキャリアコンサルタント側が質問しながらまとめていくことが多い。手取り足取りになってはいないだろうか。
学生が納得して書いていればよいが、頼りすぎてESのマスを埋めることに終始してしまうと、再現性がなくなる恐れがある。心配なのは面接に行って深掘りの質問をされても答えられるのか、という点だ。
ESは人の力を借りて完成させることはできるが、面接では一人で答えなくてはならない。その質問も想定はできるので準備はしてほしいが、人事担当者は十人十色だ。こちらの思惑通りに誰もが同じ質問をしてくれるわけではない。
できるだけESは具体的に書いておこう。たまに「運動部で頑張った」と言いながら、何のスポーツか競技名を書いていない人までいる。具体性に欠けてESが通らなかったら、面接の筋書きどころか、そもそも面接に呼ばれないかもしれない。それでは残念すぎる。トラップなどと考えすぎず、しっかりと具体的に書こう。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/