知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】大学のキャリアセンター 知見は豊富、早めに相談を 栗田貴祥(2025/3/4付 日本経済新聞 夕刊)(2025/03/11)


 3月1日に企業による採用広報が解禁となり、2026年大卒予定者の就職活動が本格化してきた。SNSをはじめ、情報を得る手段が多様化している昨今だが、身近で相談できる存在としてぜひ活用してほしいのが、各大学にあるキャリアセンターだ。

 キャリアセンターとは、学生の就職サポートやキャリア相談を受け付ける部署のこと。進路の悩みの個別相談を受けたり、インターンシップ等の情報を発信したり、就活に役立つ講座を開催したりと、多方面から学生のキャリア支援を行っている。

 ただ、キャリアセンターを利用する学生が減ってきているようだ。24年9月にリクルート就職みらい研究所が全国の大学119校に対して、就職・キャリア支援状況についての課題などを聞いたところ、最も多く挙げられた「未内定学生の支援」に続いて「就職支援に対する学生の利用数・率」にも多くの声が集まった。

 「コロナ禍を経て、対面で相談に来る学生が減っている」「初回の就職ガイダンス以降、来なくなってしまう」といったキャリアセンター職員の悩みも耳にする。相談に来た25年卒予定の学生からは「やりたいことが見つからない」「自分が何に向いているか分からない」「複数の内定をもらったが、どの企業を選ぶべきか迷っている」といった戸惑いの声も多かったという。

 いよいよ就活が本格化している現在の大学3年生からは「まだ準備が進んでいないが早期選考を受けるべきか」など、早期選考に関する相談が多く寄せられていると話す。

 人手不足を背景に、学生が内定を取りやすい状況は続いている。自己内省を深めないまま早期選考に進み、内定が「取れてしまう」ことは、入社後の定着・活躍の観点から懸念も大きい。社会経験が限られている学生にとって、業界や企業、仕事について知見を持つ第三者との対話は、自分に向き合う上で大事な機会になるはずだ。

 キャリアセンターの職員は、毎年就活や進路に悩む学生の声を聞いてきている。例えば、早期選考によって先輩たちはどんな悩みを抱えてきたのか、内定辞退をする際に何が課題になり、どう対処すべきなのか。リアルで実践的な情報を持つ職員は、初めての就活を迎える学生にとって心強い存在になる。

 また、キャリアセンターにはそれぞれの大学の特性に合わせた就職支援実績が蓄積されている。身近な先輩たちの就活に関する情報を得られる点も、キャリアセンターの魅力の一つだ。

 大学によっては、キャリアコンサルタントの国家資格保有者が在籍しているところもある。学生一人ひとりが「より良い人生を送るために」というフラットな視点で、進路のアドバイスがもらえる良さもある。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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