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【就活のリアル転載】インターンの事前選考 企業は質問内容に配慮を 栗田貴祥(2025/6/10付 日本経済新聞 夕刊)(2025/06/17)


 2027年大卒・院修了予定者向けのインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへのエントリーが本格的に始まっている。我々の調査では26年卒予定者のプログラム参加割合は8割以上となり、インターンシップが昨今の就職活動で重要なプロセスになっていることがわかる。

 学生が業界や仕事への理解を深めるために開催されるものではあるが、一定の期間、就業体験を含んだプログラム等は特に受け入れ部署のキャパシティーの問題もあり、プログラム参加に当たり事前選考を設けている企業も少なくない。26年卒でプログラム応募時に選考を経験した学生は約8割。不参加を決めた理由でも「選考に通過しなかったから」が約4割を占めた。

 企業が受け入れ可能な人数の観点から、事前選考によって人数を絞らざるを得ないのは現実的に仕方がない。ただ、一部の学生からは、その選考時に「応募理由」を聞かれることに戸惑いの声も寄せられている。26年卒では選考で回答が難しかった質問内容として、43.1%の学生が「応募理由」を、15%が「入社後に取り組みたいこと」を挙げている。

 具体的な声として「まだまだ企業についての理解もない中で、何を理由にしたらよいのか分からなかった」というものや、「自分が社会で何ができるのかを知りたくて応募したのに、やりたいことはないかと聞かれても困る」「会社の事業・業務の理解を深めるイベントであるはずなのに、応募段階で深い理解が求められていることが不思議だ」など、さもありなんと思える指摘も多い。

 こうした学生の困惑に配慮する上でも、選考を設けている企業は改めて、どんな意図で質問項目を設定しているか再考してみてもいいだろう。

 インターンシップ等は本来、企業や仕事の理解を深めるためのプログラムであり、学生が採用の本選考を受けるかどうかを見極めるための場だ。応募理由を聞くとしても、「なぜ当社に応募したのか」といった志望動機ではなく「プログラムに期待することは何か」「参加することで何を得たいと考えているか」などといった聞き方に変えてみてはどうか。

 「答えにくい質問があるから」と応募に二の足を踏む学生が減り、応募増につながるかもしれない。併せて、プログラムに期待することを事前に把握できるというメリットもある。

 大学3年生などはまさにこれから情報収集を始め、複数の業界や企業を比較検討していこうという段階にいる。企業が学生の立場に立ち、設問の工夫や配慮を行うことができれば、これまで以上に学生との出会いの機会を広げ、相互理解を深めることができるかもしれない。そうなれば、双方にとって喜ばしい変化になるはずだ。

(インディードリクルートパートナーズリサーチセンター上席主任研究員)


     

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