何年前からかわからないが、就職面接でよく聞かれることとして「学生時代に力を入れたこと」を就活生の間で「ガクチカ」と呼ぶようになった。その頃からか、「ガクチカ」は学生時代に達成した実績を話さなくてはならない、そしてそのすごさやレベル感で評価をされるのだという風潮にもなっている。
しかし、企業側では一般に「ポテンシャル採用」(潜在能力や将来の成長可能性を見て採用する)である新卒採用で、実績自体で評価をすることはあまりない。オリンピック選手だとか学生起業家だとか、社会人顔負けの実績を持っている人はもちろんいるにはいるが、ほとんどの学生の実績は、嫌な言い方に聞こえるかもしれないが「どんぐりの背比べ」であるからだ。
それもそのはず、一般に学生は特に何かの実績を上げることを期待されてはいない。学生の本分は学業や課外活動を通じての能力開発であり、将来の可能性を最大化するため様々な経験をしておくことだからだ。実績を出すことはすごいことだが、学問に打ち込み、勉強や研究などに没頭していれば、「ガクチカ」で言えるような実績がなくても全く構わない。
では、企業は面接で何を見て、何を評価しているのか。それは単純なことで、「学生がどんな人なのか」。すなわち、その人の能力・性格・価値観を見て、自社の仕事や文化にフィットしているかどうかを判断している。「ガクチカ」も「志望動機」も、面接で聞かれる質問はすべて「あなたはどういう人ですか?」という問いのバリエーションなのである。
自分の能力・性格・価値観を表現するのに、すごい実績など必要ない。几帳面(きちょうめん)な性格を表すのに「部屋がすごくきれい」でもいいし、「やりきる力」を示すのに「小学校からずっと日記をつけている」でもいい。「好奇心」を説明するのに「流行した食べ物はいつも食べるようにしている」でもいい。
そんな日常的なことはインパクトがないのではと思うかもしれないが、そもそも企業側はインパクトなど求めてもいない。面接で話が盛り上がっても不合格になったりするのはそういうことで、面白い話、珍しい話、すごい話かどうかなど関係ないのだ。
だから、学生は面接で話すエピソードを、インパクトのある実績から探す必要はない。企業に伝えたい自分の特徴(性格・能力・価値観)が表れているエピソードを過去の経験から探して伝えればよい。
重要なのは、「企業が求めている特徴」を伝えることだ。求めてもいない特徴を伝えても意味がない。何を求めているかは大概ホームページに書いてある。そこで求められていることの中から自分が持っている特徴を探して、それを表しているエピソードを探して話すことが面接の本質なのである。
(人材研究所代表)