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【社会に出る学生のための人権入門】(第20回)人権とは? これからの社会と人権Ⅵ(2019/04/11)


 前回紹介したセンサー革命ともいえる状況は社会やビジネスを大きく変えていく。センサーの爆発的増加が人工知能を鍛え、進化した人工知能が新たなセンサーの増加を促し、あらゆるジャンルに人工知能とセンサーが普及していく。

 すでに自動車保険のしくみにも影響を与えている。最近の車にはドライバーの運転技術を評価してくれるものまで存在する。私もレンタカーを借りて運転しているとき、安全運転・省エネ運転をレンタカーに音声で評価されたことがあった。こうした技術は運転状況をセンシングできるセンサーによって可能になっている。こうしたセンサーで把握した運転状況と保険料を連動させるしくみである。安全運転を実践していればセンサーから得た情報によって保険料を安くするというものである。フランスのタイヤメーカー・ミシュランは、センサーによって把握した走行距離に応じて利用料を課金するシステムも試みている。これは運送会社にも歓迎されるだろう。トラックの走行距離によってタイヤの摩耗状況は異なる。距離が長いときは利用料が上がる代わりに、短いときには利用料が下がれば運送会社の経済性とも合致する。すでに保守・管理をはじめとする多くの分野で導入されている。

 こうしたセンサーは、センサーで得たデータを処理・分析・認識・判断する人工知能の進化につながり、自動運転車の進化につながっていく。また「量を計るセンサー」から「意図を察するセンサー」への進化は、スペイン・バルセロナにあるコメディーを上演する劇場の変わったシステムにもつながっている。入場料は無料で、笑った量に応じて観客から料金を支払ってもらう料金システムである。このようなセンサー技術はあらゆる分野に導入されつつある。これらにプラスして飛躍的なスピードでデータを処理していく量子コンピュータの低廉化や大量化が実現すれば、さらに社会やビジネスは変わるだろう。それらは「仮想現実」(VR)や「拡張現実」(AR・アグメンテッドリアリティ)にも大きな影響を与える。

 さらにゲノム(遺伝子)革命の大きな成果である遺伝子操作・編集技術(液体)である「クリスパー・キャス9」は、ピンポイントで遺伝子操作や編集ができる。内容は化学成分を含む液体であるが、それを使って遺伝子を切断、改変できるのである。これらのゲノム革命の技術が、医療・製薬・農業などを大きく変えるだけでなく、IT革命の成果の一つであるインターネット以上に差別問題や人権問題に多大な影響を与えるだろう。それらは次回に紹介したい。

北口 末広(近畿大学人権問題研究所 主任教授)



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