チャットGPTにチャットGPTがこれからの社会に与える影響ついて質問すると「チャットGPTは、高度な人工知能(AI)機能を備えたチャットボットで、エッセイや電子メール、詩の作成、コードの記述とデバッグ、さらには試験への合格など、さまざまなタスクを完全に単独で実行できます。チャットGPTは、教育やビジネスなどの分野に影響を与えています。チャットGPTによって期待や慣習に変化が生じている分野としては、コーディングなどのスキルを必要とする専門分野だけでなく、教育分野もあります」と回答してくれた。
「デバッグ」とは、コンピュータプログラムに潜む誤り(バグ)を探し出し、プログラムコードを修正して取り除くことを指す言葉である。プログラムが仕様や開発者の意図と異なる動作をする場合、そのような動作を引き起こすプログラム上の欠陥を修正することができるのである。また「コーディング」とは、プログラミング言語を用いてコンピューターが理解できる形に指示を出すことである。
私も大学における教育・研究者として、教育分野に与える影響は極めて大きいと指摘できる。それも学校教育だけではない。社会教育をはじめとするあらゆる教育分野に大きな影響を与える。おそらくスマホが驚くべきスピードで日常生活に浸透したようにあらゆる分野にチャットGPTも浸透していくだろう。
かつて未来学者のアルビン・トフラーが権力の源泉ついて述べた中に、権力の源泉が「暴力」(軍事覇権)から「財力」(経済覇権)、「知力」(技術覇権)に移行しているとの指摘があった。現代もこの三要素が権力の源泉であることは言うまでもないが、ますます「知力」の果たす役割が大きくなっている。「知力」があれば大きな「財力」を生み出し、その「財力」が「暴力」すなわち膨大な「軍事力」の獲得につながっている。GAFAMに代表されるプラットフォーム型企業の脅威的な躍進を見れば説明する必要もないだろう。例えばその一つであるグーグルは1998年に創業した時の資金は日本円で1千万円だった。「財力」はなかったが、インターネットを駆使したビジネスを成功させる「知力」「情報力」は圧倒的なものであった。まさに「知力」を巨大な「財力」に転換させるビジネスといえる。今や株式時価総額は300兆円を優に超える。この「知力」や「情報力」と密接に関わっているのがチャットGPTだ。この「知力」はGAFAMが圧倒的な「財力」をもって企業間格差を拡大したように、多くの分野の格差拡大にも多大な影響を与えるだろう。
北口 末広(近畿大学人権問題研究所 主任教授)