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【社会に出る学生のための人権入門】(第83回) チャットGPTがこれからの社会に与える影響⑮(2024/07/11)


 前回紹介したドイツにおけるナチスの時代は現代でも起こり得る。すでに起こっているといっても過言ではないだろう。ヨーロッパにおける極右勢力の台頭はその証左だ。生成AIはフェイク情報を駆使する上でも圧倒的な力を発揮する情報機器であるということを忘れてはならない。科学技術の進歩はいつの時代も社会に多大な影響を与えてきた。人類の頭脳を代替できる情報機器は、これまでの科学技術以上に大きな影響を与える。そして科学技術の進化も生成AIの活用によって飛躍的なスピードになるだろう。それは社会の進化の在り方を変革する可能性を持つ。デジタル情報資本主義といわれる今日において情報の多面性をふまえたビジネスモデルは多数存在している。プラットフォーム型企業の代表ともいえるグーグルはデジタル情報を駆使して莫大な利益を生み出した。もしインターネットやそれにつながるスマホ、パソコン等がなければグーグルの今日のビジネスモデルは成り立たない。膨大な個人情報を含む情報を収集・発信できるのもインターネットやスマホが存在するからだ。それらにプラスしてチャットGPTに代表される生成AIは人類の頭脳を代替し、あらゆる企業や組織、ジャンルに圧倒的な影響を与えていく。

 例えばチャットGPTに代表される生成AIを駆使すれば、「小さな情報力」で「大きな情報力」を獲得することができる。国際的な世論操作・情報操作も可能だ。その一例が生成AIの翻訳機能だ。多言語に対応できているチャットGPTの翻訳力を駆使すれば、言語の壁を超えた情報操作が可能になり、国際政治を始めとした国際社会にも大きな影響を与えるだろう。それだけではない。言語の壁によって国際的なビジネスが展開できなかった多くの日本国内の中小零細企業が容易に外国企業や顧客と取引ができることになり、世界的なビジネスパートナーも増加するだろう。あるいは人権確立のための国際的な強力や取り組みも前進するだろう。さらに語学力が不充分であっても世界の優秀な研究成果に基づく講義や講演等を日常的に受講することも可能になるだろう。各国の大学が協力して連携大学院大学等の設立もさらに容易になるだろう。日本国内にもサイバー大学が存在しているが、多くの国々の大学学部や大学院研究科が協力してカリキュラムを組めば学部・研究科の横断的な新しい発想の国際的な連携大学や大学院を創造することができるだろう。そうした連携や取り組みによって、人びとの語学力は自然と伸びていくかもしれない。

北口 末広(近畿大学人権問題研究所 特任主任教授)



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